自筆証書遺言保管制度を活用すれば、自筆証書遺言の問題点の多くをカバーし、公正証書遺言に近い信用を持つ遺言を作成する事ができます。以下、ご確認ください。
まずは自筆証書遺言を書こう!
自筆証書遺言とは、遺言者が自ら筆記し、署名・押印した遺言書のことを指します。この遺言書が有効であるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 全文を自筆で書く
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ワープロやパソコンで作成したものは無効です。遺言者が自筆で書いたものでなければなりません。
- 日付を記載する
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作成した日付を明確に記載しなければなりません。「令和○年○月吉日」などの曖昧な日付は無効です。
- 署名・押印
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遺言者の署名と印鑑(通常は実印)を押す必要があります。
詳しくは、下記の記事を読んでいただければと思います。

自筆証書遺言保管制度を利用するメリット
従来の保管方法の問題点
例えば、家の金庫や、銀行の貸金庫、書斎の机の中、知り合いに預ける、などの方法で自筆証書遺言を保管しておく事が考えられますが、この場合、次のような問題が生じます。
- 遺言が発見されない。気づかれない。
- 不利な内容を把握した相続人に処分されたり、改変されたりする。
- 保管方法が悪くて読めなくなる。
- 家庭裁判所を使った、遺言の検認制度の活用が必要となる。
自筆証書遺言の保管制度を使うと
上記の問題を、ある程度は解決する事ができます。次のような効果が生まれます。
- 安全性の向上
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遺言書を法務局に保管することで、紛失や改ざんのリスクが大幅に減少します。公証人役場で保管してもらう事とあまり変わらない効果です。
- 家庭裁判所の検認が不要
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自筆証書遺言が法務局に保管されている場合、遺言者の死亡後、家庭裁判所での検認手続きが不要となります。これにより、手続きが簡略化されます。
- 遺言書の発見が容易
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相続人や関係者が遺言書を見つけやすくなるため、相続手続きがスムーズに進行します。
- 遺言書の存在を相続人に通知
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遺言者が希望する場合、死亡後に相続人に遺言書の存在が通知されます。
銀行など、場合によっては自筆証書遺言を信用してくれないケースも有るようですが、今後、保管制度利用した自筆証書遺言については、信用度が向上する事になると思います。
自筆証書遺言の保管の手続き

自筆証書遺言が書けたら、その遺言を保管する必要がありますよね。
自筆証書遺言保管制度を利用するためには、遺言者本人が法務局に出向き遺言書を提出します。いきなり行っても対応してくれませんので、必ず事前に予約を入れていきましょう。
代理人によることはできず、本人が法務局へ出向く必要があります。本人確認をされるので、身分証明書を忘れないようにしましょう。必要な書類は次の通りです。
- 自筆証書遺言
- 保管申請書
- 住民票の写し(本籍・筆頭者の記載あり)
- 顔写真付きの身分証明書
- 手数料の収入印紙3,900円分
提出の際には、本人確認が行われ、遺言書の内容確認は行われません。コンピュータに読み込まれるため、用紙の余白などのに一定の制限があります。用紙のサイズを確認しましょう。
また、保管申請書を作成する必要がありますが、遺言の存在を検索できるよう、情報をまとめたり、遺言執行者や、死亡時などに通知を送る相手を登録する事ができます。
遺言書が法務局に保管されると、保管番号が発行され、遺言者には「遺言書保管証」が交付されます。この保管証を紛失したとしても遺言書の有効性には影響がありません。
保管された遺言書の閲覧と証明書の交付
遺言者が亡くなった後、相続人や利害関係者は、法務局に対して遺言書の閲覧や、遺言書の写し(証明書)の交付を申請することができます。これにより、遺言書の内容が相続人に開示され、円滑な相続手続きが行われるようになります。
- 保管された遺言書は、遺言者の意思でいつでも撤回や変更が可能ですが、その際には新たな遺言書を作成する必要があります。
- 保管制度を利用していない自筆証書遺言も依然として有効ですが、その場合は家庭裁判所での検認が必要です。
終わりに
自筆証書遺言保管制度は、遺言書の安全な保管を支援し、相続トラブルを防ぐための重要な制度です。遺言を作成する際は、この制度を活用して確実に自分の意思を残すことを検討してみてください。

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