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成宮隆行
社会福祉士・行政書士・FP
私は、行政書士・社会福祉士・ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、介護から相続まで総合的にサポートします。福祉の視点を活かし、ご家族の安心を守りながら、遺言作成や相続、任意後見、家族信託のご相談にも対応いたします。安心してお任せください。
なお、このサイトは自分で書いておりますので、更新に時間がかかります。

成年後見制度!疑問を解消して最適な選択を

目次

成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症知的障害精神障害などにより判断能力が不十分な方々を法律的に保護し、支援するための制度です。この制度は、民法に基づいて定められており、判断能力が不十分な方(本人)の権利を守り、本人の意思を最大限に尊重しながら、安心して生活できるよう手助けすることを目的としています。

この制度が必要となる背景には、高齢化社会の進展や障害を持たれた方の社会参加の増加があります。判断能力が低下した場合、日常生活での様々な契約行為(例:介護サービスの利用契約、施設への入所契約)や財産管理(例:預金の引き出し、不動産の売却)などが困難になります。成年後見制度は、このような状況下でも本人の生活を法的に支援し、権利を守る役割を果たします。

制度の種類

1. 法定後見制度

法定後見制度は、すでに判断能力が不十分な方を対象とし、家庭裁判所によって選ばれた後見人等が、本人を援助する制度です。本人の判断能力の程度に応じて、以下の3つの類型に分かれています。

  • 後見: 判断能力が欠けている方を対象とします。後見人は、本人の法律行為について代理権を持ち、本人を包括的に保護します。
  • 保佐: 判断能力が著しく不十分な方を対象とします。保佐人は、重要な財産行為について同意権を持ち、必要に応じて代理権も付与されます。
  • 補助: 判断能力が不十分な方を対象とします。補助人の権限は、本人の同意を得て定められた特定の法律行為に限定されます。

法定後見制度の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長などが行うことができます。家庭裁判所は、医師の診断書や本人の陳述などを基に審判を行い、適切な後見類型と後見人等を決定します。

2. 任意後見制度

任意後見制度は、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ人を後見人に指定しておく制度です。この制度の特徴は以下の通りです。

  • 本人が判断能力を有している間に、公正証書で任意後見契約を結びます。
  • 契約では、任意後見人となる人や、その人に委ねる事務の内容を自由に決めることができます。
  • 本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所で任意後見監督人が選任され、任意後見契約の効力が生じます。

任意後見制度は、本人の自己決定権を最大限に尊重する制度であり、将来の不安に備えて計画的に後見の内容を決められる点が大きな特徴です。

ただし、任意後見契約を結んでおいても、本人の判断能力が低下するまでは効力が生じないため、その間の見守りや支援は別途考える必要があります。

成年後見人の役割

成年後見人(保佐人、補助人を含む)は、本人の生活と権利を守るために重要な役割を担います。主な役割は以下の通りです:

1. 財産管理

成年後見人は、本人の財産を適切に管理する責任があります。具体的には以下のような業務を行います。

  • 預貯金の管理:日常的な支払いの管理、適切な運用
  • 不動産の管理:賃貸物件の管理、固定資産税の支払いなど
  • 収支の記録:定期的な収支報告書の作成
  • 保険金や年金の請求手続き

財産管理においては、本人の意思を尊重しつつ、本人の最善の利益を考慮して行動することが求められます。

2. 身上保護

身上保護とは、本人の生活や療養看護に関する法律行為を行うことです。主な業務には以下が含まれます。

  • 医療・介護サービスの契約:適切な医療や介護を受けられるよう、必要な契約を行います。
  • 施設入所の手続き:必要に応じて、介護施設などへの入所手続きを行います。
  • 住居の確保:本人に適した住環境を整えるための契約や手続きを行います。
  • 福祉サービスの利用手続き:障害者手帳の申請や各種福祉サービスの利用手続きを行います。

身上保護においては、本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、最適な選択を行うことが重要です。

3. 法律行為の代理

成年後見人は、本人に代わって様々な法律行為を行う権限を持ちます。主な代理行為には以下が含まれます。

  • 契約の締結・解除:賃貸契約、サービス利用契約など
  • 訴訟行為:本人の権利を守るために必要な訴訟を起こすこと
  • 相続関連の手続き:相続の承認・放棄、遺産分割協議など

ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為については、本人の判断能力が著しく不十分でない限り、本人自身の判断に委ねられます。

4. 本人の意思尊重と身上配慮義務

成年後見人には、本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮する義務があります。これは民法に明記されており、後見業務の基本原則となっています。

  • 本人の希望や好みを理解し、可能な限りそれに沿った支援を行う
  • 定期的に本人と面会し、生活状況や健康状態を確認する
  • 本人の自己決定権を尊重し、できる限り本人に決定の機会を与える
  • 本人の能力を最大限に活かせるよう、必要な支援を行う

これらの役割を適切に果たすことで、成年後見人は本人の権利を守り、よりよい生活を送れるようサポートします。

制度利用のメリットとデメリット

メリット

  1. 本人の権利と財産の保護
    成年後見制度の最大のメリットは、判断能力が不十分な方の権利と財産を法的に保護できることです。後見人等が本人に代わって適切な判断を行い、契約や財産管理を行うことで、本人の利益を守ります。例えば、悪質な勧誘や詐欺から本人を守ることもできます。
  2. 適切な介護サービスの利用
    後見人等は、本人に最適な介護サービスを選択し、必要な契約を結ぶことができます。これにより、本人の状態に合った適切なケアを受けることが可能になります。例えば、介護施設への入所や在宅サービスの利用を、本人の最善の利益を考慮して行うことができます。
  3. 消費者被害の防止
    判断能力が不十分な方は、悪質な商法や詐欺の標的になりやすいです。後見人等が財産管理を行うことで、不要な契約や高額な買い物を防ぎ、消費者被害から本人を守ることができます。また、被害に遭った場合でも、後見人等が法的手続きを行って被害対応をする事ができます。
  4. 親族の負担軽減
    成年後見制度を利用することで、これまで親族が担ってきた判断や手続きの負担を軽減できます。特に、専門職(弁護士、社会福祉士など)が後見人等に選任された場合、法律や福祉に関する専門的な知識を活かした支援が受けられます。これにより、親族は本人との関係性に集中でき、より良い介護や支援を提供できる可能性が高まります。

デメリット・注意点

  1. 本人の行為能力の制限
    成年後見制度、特に後見類型では、本人の行為能力が大きく制限されます。例えば、重要な契約や財産処分などの法律行為ができなかったり、取り消される可能性があります。これは本人保護のためですが、同時に本人の自己決定権を制限することにもなります。
  2. 財産管理や契約に関する自由の制限
    後見人等が本人の財産管理を行うため、本人が自由に財産を使用することが難しくなります。日常的な買い物は可能ですが、高額な商品の購入や不動産の売却などは、後見人等の判断が必要となります。これは本人の保護につながる一方で、自由な経済活動を制限することにもなります。
  3. 手続きに時間と費用がかかる
    成年後見制度の利用開始には、家庭裁判所への申立てが必要です。この手続きには、書類の準備や診断書の取得、申立費用の支払いなどが必要となり、時間とコストがかかります。また、後見人等への報酬も必要となる場合があり、継続的な費用負担が生じることがあります。例えば、申立費用は数万円程度、後見人等への報酬は月額2万円から10万円程度かかることがあります。
  4. 後見人等との関係性によるストレス
    後見人等と本人の関係が良好でない場合、本人にとって大きなストレス要因となる可能性があります。特に、家族以外の第三者が後見人等に選任された場合、本人の生活や財産に関する決定権が他人に委ねられることへの不安や抵抗感が生じることがあります。また、後見人等の判断と本人の希望が一致しない場合に、軋轢が生じる可能性もあります。
  5. プライバシーの一部喪失
    成年後見制度を利用すると、本人の財産状況や生活状況が後見人等に開示されます。また、定期的に家庭裁判所への報告が必要となるため、プライバシーが一部失われることになります。例えば、本人の収支状況や資産内容などが後見人等や裁判所に共有されることになります。
  6. 制度の柔軟性の限界
    成年後見制度は、一度開始されると本人の判断能力が回復しない限り継続されます。本人の状況が変化した場合でも、制度の変更や終了には再度の裁判所の審判が必要となり、即座に対応することが難しい場合があります。また、後見人等の変更も簡単ではなく、柔軟な対応が制限される可能性があります。
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