遺産分割協議証明書を上手に使う

遺産分割協議書の役割

相続人で集まって遺産分割の内容がまとまると、それを形にすることが必要となります。

実は、遺産分割協議は口約束でも有効です。書面にしなくても法律上は有効なのです。

ただし、それを第三者に証明する方法がありません。そのため、裁判所で争ったり、相続手続きをするためには、証拠を提供できない状況のため、あまりにも不安定な状況となります。

そこで、かなり確実性の高い証拠を備える方式として、遺産分割協議書を作成し、実印を押印し、印鑑証明書を添付するようにします。

このように、有効に成立した取り決めを証明したのが遺産分割協議書なのですが、この書類が無ければ、調停などを使用した強制的な手続きを取らなければ手続きができないほど重要です。

まれに「印鑑証明書を提出することに不安があるため、手続きに協力できない」とお話しされる相続人がいらっしゃいますが、それですと、相続放棄頂くか、調停手続きの費用をもって頂かないと困るくらいの話になります。

もっと、いろいろな不安の少ない方法が増えればいいのですが。

遺産分割協議書の作成

遺 産 分 割 協 議 書

 令和〇〇年〇月〇日、○○県○○市〇〇町〇番〇号 ○○○○(最後の本籍 ○○県○○市〇〇町〇〇番地)の死亡により開始した相続における共同相続人全員は、令和〇年〇月〇日、その遺産について、下記のとおり遺産分割の協議を行った。 

1、次の不動産は相続人 ○○ ○○ が相続する。

所  在   ○○市〇〇町
地  番   〇〇番〇
地  目   ○○
地  積   〇〇〇.〇〇㎡
                 
所  在   ○○市〇〇町〇〇番地〇
家屋番号   〇〇番
種  類   ○○
構  造   ○○造○○○○階建
床 面 積   1階 〇〇.〇〇㎡
      2階 〇〇.〇〇㎡ 
               

上記のとおり、共同相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証明するため本協議書を作成し、署名捺印する。 

令和〇年〇月〇日
 

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 A 印

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 B 印

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 C 印

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 D 印

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 E 印

遺産分割協議書を作成する際には、協議の内容をまとめて、相続人の皆様の署名、押印の欄を設けます。

複雑に考える必要はありませんが、登記手続きには、かなりしっかりした協議書の形がありますので、登記手続きを意識した協議書作成をしておくと良いでしょう。

ただ、それでも、このように書かなければならないというルールがあるわけではありません。まれに法律上は有効になのに、不動産の記載方法などが気に入らないから、遺産分割協議書を作り直す専門家がいますが、そこに報酬が生じるのであれば、おかしな話となりますのでご注意ください。

そんな遺産分割協議書なのですが、一つ大きな問題がありまして、相続人の署名欄が一番の書類に全て書かれているため、署名・押印をするために、タイミングを合わせて全員が集まったり、順番に書類を郵送して回してくことが必要となります。

要するに、相続人の居住地が近い場合は、一枚の協議書でも上手くいくのですが、遠いと、時間がかかる上に書面がボロボロになったりします。

例えば、上記協議書のCさんが青森に住んでおり、Eさんが沖縄に住んでいて、他は地元にいるような場合です。

せめて、遠方の人だけでも個別に対応したいところですよね。そこで、遺産分割協議証明書の出番となります。

遺産分割協議証明書を上手に使う

遺産分割協議証明書は下記のように書きます。上記のCさんのみを分けて書類を作成し、題名と少し文言を変えた例です。

遺産分割協議証明書は、それ一枚ではもちろん効果を発揮しませんが、遺産分割協議書と組み合わせても良いし、全員分を遺産分割協議証明書にして、それを束ねても、遺産分割協議書と同じ効果を発揮します。

今回のケースですと、CさんとEさんは証明書で対応し、他の相続人には、集まってもらって署名・押印をいただければ、スムーズにいきます。

遺 産 分 割 協 議 証 明

 令和〇〇年〇月〇日、○○県○○市〇〇町〇番〇号 ○○○○(最後の本籍 ○○県○○市〇〇町〇〇番地)の死亡により開始した相続における共同相続人全員は、令和〇年〇月〇日、その遺産について、下記のとおり遺産分割の協議を行った。 

1、次の不動産は相続人 ○○ ○○ が相続する。

所  在   ○○市〇〇町
地  番   〇〇番〇
地  目   ○○
地  積   〇〇〇.〇〇㎡
                 
所  在   ○○市〇〇町〇〇番地〇
家屋番号   〇〇番
種  類   ○○
構  造   ○○造○○○○階建
床 面 積   1階 〇〇.〇〇㎡
      2階 〇〇.〇〇㎡ 
               

上記のとおり、共同相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証明するため本証明書を作成し、署名捺印する。 

令和〇年〇月〇日
 

住所 ○○県○○市〇〇町〇番〇〇号
相続人 C 印

遺産分割協議証明書を使用するケース

  1. 相続人の一部が遠方に居住している
    遺産分割協議証明書を作成する場合は、一枚の遺産分割協議書に相続人全員の同意をもらうのが地理的に難しいケースがほとんどです。相続人全員が集まる機会があれば良いですが、書面を転送しながら遺産分割協議書を整えるのは大変です。
  2. 前婚や後婚などの集まりづらい事情がある
    前婚のお子様や、後婚のお子様がいる場合など、さすがに両家が一堂に会するのは難しものです。そこで、遺産分割協議証明書を作成し、それぞれの相続人に印鑑をもらうことで、協議をまとめる事ができます。
  3. 単純に相続人が多い
    相続人が多すぎる場合も、遺産分割協議証明書を作成し数枚に分けて作る方が良いことがあります。

要するに、集合が難しいケースや、時間的に自分のペースでければ対応が難しいという人におすすめの方法です。かなり便利ですので、詳しく知りたい方は事務所へご相談ください。

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    記事を書いた者:成宮隆行
    社会福祉士・行政書士・FP・合気道6段
    成年後見・生前契約・遺言・相続の対策と手続きを専門とする。入管・内容証明・会社設立などについても活動しております。