子どもがいない・ひとり暮らし。入院や亡くなった後の手続きは、誰に頼めばいい?

ひとり暮らしの備え。見守りと財産管理、任意後見契約、死後の手続きと遺言の3項目を挿絵付きのカードで紹介する図。

子どもがいない。ひとり暮らし。「入院や、亡くなった後の手続きは誰がしてくれるんやろう」。この記事では、その相手を元気なうちに契約で決めておく方法を、4つの場面に分けてお伝えします。

登場する節子さんは架空の人物です。実際の相談をもとにしたものではありません。

目次

入院の書類で、手が止まった

彦根市内で暮らす節子さん、72歳。夫を7年前に見送り、子どもはいません。近くに友人も多く、毎日は忙しいくらいです。

その節子さんが、冬に玄関先で転んで足を骨折しました。救急車で運ばれ、そのまま入院です。痛みより困ったのは、翌日に渡された入院の書類でした。

「緊急連絡先」「保証人」。ペンが止まります。弟は東京で、もう78歳。「弟に来てもらうんか。あの子も膝が悪いのに」。

頼む相手は、4つの場面に分けて決める

退院した節子さんは、紙に線を4本引きました。「今」「体が弱ったら」「判断する力が弱ったら」「亡くなった後」。困る場面は、この4つだと気づいたからです。

そして、場面ごとに頼み方(契約)があります。

場面 困ること 頼み方
今 倒れても、誰にも気づかれない 見守り契約
体が弱ったら 銀行や役所に行けない 財産管理委任契約
判断する力が弱ったら 契約やお金の管理ができない 任意後見契約
亡くなった後 届出・葬儀・解約をする人がいない 死後事務委任契約+遺言

一つずつ見ていきます。

「気づいてもらう」のが見守り契約

見守り契約は、定期的な電話や訪問で、暮らしの様子を確かめてもらう契約です。

節子さんの本音は「倒れたときに、誰かが気づいてくれるか」でした。見守り契約は、その入口です。様子が変わってきたら、次の契約へつなぐ役目も持ちます。

体が弱って外出がつらくなったら、預金の出し入れや支払いを代わりに頼む「財産管理委任契約」に切り替えます。頭ははっきりしているうちから使える契約です。

判断する力が弱ったら、任意後見契約

任意後見契約は、認知症などで判断する力が弱ったときに備え、支援する人と頼む内容を、元気なうちに自分で決めておく契約です。

決めごとが2つあります。1つ目、契約は公証役場で公正証書にします。2つ目、効力が始まるのは、家庭裁判所が「任意後見監督人」という見張り役を選んだときからです。頼んだ人が勝手に始めるわけではありません。法務省の案内

節子さんが気に入ったのは、「誰に頼むかを自分で選べる」ことでした。くわしくは「任意後見契約」のページにまとめています。

亡くなった後の手続きは、死後事務委任契約

人が亡くなると、手続きはすぐ始まります。たとえば死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に出す決まりです。そのあと葬儀、火葬、納骨、役所の届出、病院の精算、電気や水道の解約と続きます。

これらを生前に頼んでおくのが、死後事務委任契約です。

「亡くなったら、契約は終わるんと違うの?」。節子さんの疑問はもっともです。法律の原則では、頼みごと(委任)は頼んだ人が亡くなると終わります。そこで契約書に「亡くなっても終わらせない」と書いておきます。

頼める内容と流れは「死後事務委任契約」のページで紹介しています。

財産の行き先だけは、遺言で決める

ここで一つ、大事な線引きがあります。死後事務委任契約で頼めるのは「手続き」までです。預金や家を誰に渡すかは、遺言でしか決められません。

節子さんの場合、遺言がなければ、財産は弟さんが相続します。「弟にはお世話になるから、それでええ。でも、少しは長年通った合唱団に寄付したい」。その気持ちを形にするのが遺言です。

自分で書く遺言を法務局に預ける制度もあり、預けておくと家庭裁判所の検認(開封の手続き)がいりません。法務省の案内。作り方の違いや流れは「遺言書の作成」のページをご覧ください。

節子さんは、こう組み合わせた

節子さんが最後に選んだのは、次の形でした。

  • 見守り契約と財産管理委任契約は、専門職の受任者に
  • 任意後見契約も、同じ受任者に。動き出す時期を見逃さないため
  • 死後事務委任契約で、葬儀は小さく、納骨は夫と同じお墓に
  • 遺言で、寄付の分と、残りは弟さんに。弟さんには「知らせるだけ」に

「弟に頼むのは、知らせを受けることだけ。それでええ」。節子さんは、書いた紙を冷蔵庫に貼りました。

誰に頼む? 親族・友人・専門職

頼む相手は、親族でも友人でもかまいません。ただ、相手も年を取ります。任意後見や死後事務は、頼んでから実際に動くまで10年、20年先になることもあります。

そこで、行政書士などの専門職を受任者に選ぶ形もあります。親族には「知らせを受ける」「見届ける」役だけ残す、という組み合わせもできます。どれが合うかは、頼れる人の顔ぶれと、ご本人の希望で変わります。

迷ったら、まずご相談を

節子さんの話は架空のものですが、「入院の保証人欄で困った」「亡くなった後を頼む人がいない」は、めずらしい相談ではありません。

社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所は、滋賀県彦根市の行政書士事務所です。4つの場面のどこから備えるかを、暮らしとお金の見通しと一緒に、紙に書き出すところからお手伝いします。

初回相談は無料で、時間の制限はありません。相談だけで終わってもかまいません。契約の組み合わせと流れは「老後の備え・生前契約」のページで紹介しています。

お電話は 090-9054-1513(電話の受付 9:00〜20:00)です。ご相談は予約制です。

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この記事を書いた者

成宮隆行 なるみや たかゆき

【保有資格】
社会福祉士(登録番号178261)
ファイナンシャルプランナー(AFP)・2級FP技能士
宅地建物取引士
行政書士(行政書士登録番号第23252144号/日本行政書士会連合会・滋賀県行政書士会会員)
【職歴】
外資系生命保険会社
司法書士事務所での勤務
社会福祉士・FPとして独立
行政書士成宮事務所を開設
【専門分野】
社会福祉士会のぱあとなあ滋賀に所属し、成年後見業務を中心に活動。行政書士事務所開設後は、遺言・終活・生前対策・相続対策にも注力している。
【相談員等】
彦根市:相続遺言相談会相談員、福祉関係相続等研修会:講師

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