遺言を書く前に確かめる3つのこと|何から準備すればいい?

遺言を書く前の3つの確認。相続人は誰か、財産はどれだけか、何を解決したいかの3項目を挿絵付きのカードで紹介する図。

「そろそろ遺言を書いておこうか」と思った方へ。書き方より先に、確かめておくことが3つあります。相続人は誰か、財産はどれだけか、何を解決したいのかです。この記事では、その3つと、遺言をためらわせる5つの誤解を紹介します。

登場するのは架空の人物です。実際の相談をもとにしたものではありません。

目次

「遺言を書こう」と決めた朝。まず何から?

彦根市に住む和子さん、74歳。夫を3年前に見送り、今は一人暮らしです。子どもは2人。長女の由美さんは車で10分の所に住み、長男の健一さんは名古屋にいます。

春のある朝、和子さんはテレビで遺言の特集を見ました。「うちも書いとかなあかんな」。さっそく便せんを出したところで、手が止まります。

「誰に、何を、と言われても……」。そこで和子さんは、便せんの代わりにノートを1冊買いました。ここから、3つの「確かめごと」が始まります。

1つ目:相続人は誰? 相続人でない人に残すなら「遺贈」

まず確かめるのは、自分が亡くなったとき、誰が相続人になるかです。和子さんの場合は、由美さんと健一さんの2人です。

ところが、和子さんには残したい人がもう1人いました。由美さんの夫の隆さんです。庭木の手入れも、病院の送り迎えも、いつも隆さんがしてくれます。

ここで1つ目の「思っていたのと違った」が出てきます。隆さんは相続人ではありません。 相続人でない人に財産を残すには、遺言で「遺贈」(いぞう)という形にします。遺言がなければ、隆さんに渡す方法は限られます。

もう1つ、気をつけたいのが「遺留分」(いりゅうぶん)です。配偶者や子など一定の相続人には、法律で守られた最低限の取り分があります。子が相続人のときは、全体の2分の1がその対象です(兄弟姉妹にはありません)。

「隆さんに全部」と書くと、由美さんや健一さんが取り分を求められる形になり、かえって気まずくなるおそれがあります。誰にどれだけ遺留分があるかは、書く前に確かめておくところです。くわしくは「遺留分とは?」で紹介しています。

2つ目:財産を書き出す。ネット上の財産も忘れずに

次に、自分の財産を書き出します。「そんなの分かっている」と思う方ほど、書き出してみると抜けが見つかります。

和子さんも、通帳は3冊のはずが、引き出しから4冊目が出てきました。さらに、亡き夫が使っていたインターネット上の銀行の口座は、パスワードが分からないままです。

ここで役に立つのが「エンディングノート」です。財産や連絡先、希望などを書きとめておく、市販のノートのことです。項目に沿って埋めるだけで、財産の全体が見えてきます。

特に、インターネット上の口座やスマートフォンの中身は、本人の記録がないと家族には分かりません。遺言に書くにも、まず自分が把握していないと書けないのです。整理のしかたは「デジタル遺産について」にまとめています。

3つ目:何を解決したいのか。それは遺言で解決できるか

3つ目は、いちばん大事なところです。「自分は何が心配で、遺言を書こうと思ったのか」を、言葉にしてみます。

和子さんがノートに書いたのは、こうでした。「隆さんにお礼をしたい」「子どもたちにもめてほしくない」「自分が動けなくなったら、お金の管理を誰がするのか心配」。

最初の2つは、遺言で道筋をつけられます。でも3つ目は違いました。遺言の効力が生まれるのは、亡くなったあとです。生きている間に判断する力が落ちたときの困りごとには、遺言は効きません。 そこは任意後見や家族信託など、別の備えの出番です。

実は、相談の場でよくあるのが、この3つ目です。「遺言を書けば全部解決する」と思って来られて、話してみると、心配の中心は遺言の外にあった、ということが少なくありません。だからこそ、書く前に「何を解決したいのか」を確かめておくと、遺言が本当に役に立つものになります。

遺言をためらわせる5つの誤解

和子さんが「書こうかどうしようか」と迷った理由も、この誤解でした。

よくある誤解 実際は
一度書いたら訂正・撤回できない いつでも撤回・書き直しができます。新しい遺言を作れば、重なる部分は新しいほうが優先されます
書いたら財産が使えなくなる 生きている間は今までどおり自由に使えます。使った分は、その部分だけ遺言の効力がなくなるのが原則です
一度書いたら見直さなくてよい 家族や財産の状況は変わります。折にふれて見直すほうが、思いどおりになりやすいです
書いたらもう安心 内容によっては不公平感が残ったり、目的が果たせなかったりします。3つ目の確かめごとが大事な理由です
縁起が悪い 書いた日から何かが変わるわけではありません。書いたあとの和子さんは「肩の荷が下りた」と言っています

遺言に縛られて生きる必要はありません。むしろ、事情が変わったら直せるものだと知っておくと、気楽に一歩目を踏み出せます。

3つを確かめたら、次は「どの方式で書くか」

ノートが埋まったころには、和子さんの頭の中も整理されていました。ここでようやく、便せんの出番です。

遺言には、自分で全文を手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作る「公正証書遺言」があります。費用と手軽さをとるか、形式の不備や紛失への備えをとるか。どちらが合うかは、3つの確かめごとの結果で変わります。

迷ったら、ノート1冊を持ってご相談を

和子さんの話は架空のものですが、「書き出してみたら思っていたのと違った」は、めずらしいことではありません。

社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所は、滋賀県彦根市の行政書士事務所です。遺言の文案を作る前に、相続関係・財産・解決したいことの3つを一緒に確かめます。遺言の外にある心配ごとには、任意後見や家族信託などの備えもあわせてご提案します。

初回相談は無料で、時間の制限はありません。相談だけで終わってもかまいません。遺言づくりの流れと費用は「遺言書の作成」のページで紹介しています。

お電話は 090-9054-1513(電話の受付 9:00〜20:00)です。ご相談は予約制です。

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この記事を書いた者

成宮隆行 なるみや たかゆき

【保有資格】
社会福祉士(登録番号178261)
ファイナンシャルプランナー(AFP)・2級FP技能士
宅地建物取引士
行政書士(行政書士登録番号第23252144号/日本行政書士会連合会・滋賀県行政書士会会員)
【職歴】
外資系生命保険会社
司法書士事務所での勤務
社会福祉士・FPとして独立
行政書士成宮事務所を開設
【専門分野】
社会福祉士会のぱあとなあ滋賀に所属し、成年後見業務を中心に活動。行政書士事務所開設後は、遺言・終活・生前対策・相続対策にも注力している。
【相談員等】
彦根市:相続遺言相談会相談員、福祉関係相続等研修会:講師

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