※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。
父を見送ってしばらくたった日曜日。彦根の実家で、兄の正人さんと妹の由香さんが遺言書を読み返しています。
由香「お兄ちゃん、ここ見て。『遺言執行者に正人を指定する』て書いてあるで」
正人「俺? 何すんの、それ」
由香「知らんけど、なんか偉そうな名前やなあ」
正人「偉そうなんはええから、まず何したらええんか知りたいわ」
親の遺言書に、自分の名前が「遺言執行者」として書かれていた。何をする役か、断れるのか、何から始めるのか。この記事では、その順番を一枚の地図のようにお伝えします。
遺言執行者とは?何をする人なのか
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実行する人です。亡くなった方の「こうしてほしい」を、手続きの形にして進めていきます。
財産の管理など、必要な一切の行為をする権利と義務を持ちます(民法1012条)。相続人の代理ではなく、遺言の内容を実現する立場です。自分も相続人の一人であっても、自分の希望ではなく遺言の内容どおりに進めるのが仕事になります。
遺言執行者は断れる?引き受ける前に見ておくこと
断れます。指定されただけなら、引き受けるか断るかを自分で選べます。ただし、一度答えを出すと取り消せません。
正人さんのように「とりあえず放っておこう」は、おすすめしません。相続人などから、期間を決めて「引き受けるか答えてほしい」と求められることがあります。その期間内に答えないと、引き受けたものとみなされます(民法1008条)。
また、引き受けたあとに辞めるには、正当な理由と家庭裁判所の許可が要ります(民法1019条2項)。そこで、答えを出す前に見ておきたいことが三つあります。
- 財産の中身(預貯金だけか、不動産や株もあるか)
- 相続人が何人いて、連絡が取れる関係か
- 自分の時間と体力で、相手先とのやりとりができそうか
引き受けたら最初にやる3つのこと
引き受けたら、すぐに任務を始めます(民法1007条1項)。「すぐ」といっても、やることの順番は決まっています。
- 遺言の内容を、遅滞なく相続人に知らせる(民法1007条2項)
- 財産目録(財産の一覧表)を作って、相続人に渡す(民法1011条)
- 財産ごとに、名義変更や解約の手続きを進める
一つだけ補足です。自筆の遺言書なら、先に家庭裁判所で「検認」(遺言書の状態を確かめる手続き)を受けます。公正証書遺言なら要りません(民法1004条)。
財産目録づくりは、通帳や郵便物をたどる地道な作業です。どこに何があるか分からないときは、相続財産の調査という形でお手伝いもしています。
預貯金・株・不動産で手続きの相手が違う
財産目録ができたら、次は財産ごとの手続きです。預貯金は銀行、株式や投資信託は証券会社と、相手先が違います。必要な書類もそれぞれ違います。
不動産は名義変更(登記)が必要で、これは司法書士の仕事です。相続税の申告が要る場合は税理士の出番です。当事務所では、提携の司法書士・税理士と連携して進めます。
自分でやるか、専門家に頼むか
どちらか一つではありません。「名前は自分のまま、実務だけを専門家に頼む」という道もあります。遺言執行者は、自分の責任で第三者に任務を任せることができます(民法1016条1項)。遺言書に別の定めがあれば、そちらに従います。
当事務所に頼む形は、大きく三つです。
- 当事務所が遺言執行者への就任を引き受ける
- すでに遺言執行者になった方の、実務だけを手伝う
- 「引き受けるべきか」だけを相談する
就任の報酬は、執行する財産の額が300万円以下なら269,500円(税込)です。それより多い場合は財産の額に応じて決まります。報酬は原則として、任務が終わってから精算します。遺言書に報酬を定めておくこともできます。
正人さんは、遺言書をたたんで言いました。
正人「断るか引き受けるか、決める前に中身を見なあかんのやな」
由香「通帳、全部そろってるかどうかも分からんしなあ」
正人「名前はそのままで、手続きだけ頼めるんやったら、それもありか」
由香「とりあえず話だけ聞いてもらお。相談は無料やて書いてあるし」
社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)では、行政書士が遺言執行者への就任を引き受けることも、すでに就任された方の実務だけをお手伝いすることもできます。「引き受けるかどうか」のご相談だけでも大丈夫です。くわしくは「遺言執行のご相談」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
※この記事の人物とお話は架空のものです。


