まずは、ざっとタイムスケジュールをまとめた表をご確認下さい。
| 期限 | 手続き内容 | 提出先 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 5日以内 | 健康保険(被用者保険)の資格喪失届・保険証の返却 | 勤務先/健康保険組合・年金事務所等 | 故人が会社員・公務員等であった場合 |
| 7日以内 | 死亡届・火葬許可申請書の提出(国外死亡は3か月以内) | 死亡地・本籍地・届出人所在地の市区町村役場 | すべての人 |
| 10日以内 | 厚生年金受給権者死亡届(報告書)の提出 | 年金事務所・街角の年金相談センター | 故人が厚生年金を受給していた場合 |
| 10日以内 | 雇用保険受給資格者証の返却 | ハローワーク | 故人が雇用保険を受給していた場合 |
| 14日以内 | 国民年金受給権者死亡届(報告書)の提出 | 市区町村役場・年金事務所等 | 故人が国民年金を受給していた場合 |
| 14日以内 | 世帯主変更届(住民異動届) | 市区町村役場 | 故人が世帯主で、15歳以上の世帯員が2人以上残る場合 |
| 14日以内 | 国民健康保険・後期高齢者医療保険・介護保険の資格喪失届と保険証返却 | 市区町村役場 | 故人が各保険の対象者であった場合 |
| 20日以内 | 銃砲刀剣類の登録届(所有者変更) | 都道府県教育委員会 | 故人が日本刀等を所有していた場合 |
| 速やかに | 遺言書の有無の確認・検認(自筆証書遺言の場合。法務局保管制度利用時・公正証書遺言は不要) | 家庭裁判所 | すべての人 |
| 速やかに | 相続人の特定・財産調査(戸籍収集、財産目録の作成) | - | すべての人 |
| 3か月以内(重要) | 相続放棄・限定承認の申述(熟慮期間。伸長の申立ても可) | 故人の最後の住所地の家庭裁判所 | 相続を放棄したい、または限定的に引き継ぎたい場合 |
| 4か月以内(重要) | 準確定申告(故人の所得税・消費税)・納税 | 故人の住所地の税務署 | 個人事業主、不動産収入・給与2,000万円超・年金400万円超等があった場合 |
| 4か月以内等 | 青色申告承認申請書等の提出 | 税務署 | 故人の事業を相続人が引き継ぐ場合 |
| 10か月以内 | 遺産分割協議書の作成(相続人全員の実印押印) | - | 遺言書がない場合 |
| 10か月以内(重要) | 相続税の申告・納付(原則現金一括) | 故人の最後の住所地の税務署 | 遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)超の場合 |
| 1年以内 | 遺留分侵害額請求 | 相手方(受遺者・受贈者) | 配偶者・子・直系尊属(兄弟姉妹は対象外) |
| 1年以内(または知った日から6か月) | 特別寄与料の請求 | - | 相続人以外の親族(例:息子の妻)が療養看護等に貢献した場合 |
| 2年以内 | 葬祭費・埋葬料の請求 | 市区町村役場(国保)・健康保険組合等 | 葬儀を行った人(喪主等) |
| 2年以内 | 高額療養費・高額介護サービス費の申請 | 市区町村役場・健康保険組合等 | 故人が医療費・介護費の上限超の支払いをしていた場合 |
| 2年以内(令和8年4月施行) | 住所・氏名変更登記の義務化 | 法務局 | 不動産所有者の住所・氏名変更があった場合 |
| 3年以内(令和6年4月施行) | 不動産の相続登記(名義変更)の義務化 | 不動産管轄の法務局 | 不動産を相続した人 |
| 3年以内 | 生命保険金(死亡保険金)の請求 | 生命保険会社 | 死亡保険金の受取人 |
| 3年10か月以内 | 相続税特例適用のための分割期限(申告期限後3年内分割見込書提出時) | 税務署 | 申告期限までに分割未了だった場合 |
| 5年以内 | 遺族年金・未支給年金の請求 | 年金事務所・年金相談センター | 遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金等の対象者 |
| 10年以内 | 特別受益・寄与分の主張(令和5年4月施行の改正民法) | - | 特別受益・寄与分を主張したい相続人 |
| 10年で消滅 | 遺留分侵害額請求の除斥期間 | - | 侵害を知らなかった場合でも10年で権利消滅 |
| 期限なし(速やかに) | 公共料金・クレジットカード・賃貸住宅・預貯金口座等の解約・名義変更 | 各契約先・金融機関等 | すべての人 |
相続の手続きには、法律で定められた期限が数多くあります。
結論から言えば、「7日以内の死亡届」「3か月以内の相続放棄」「10か月以内の相続税申告」「3年以内の相続登記」など、期限は手続きごとに異なり、放置すると過料や特例適用不可などの不利益を受ける可能性があります。本記事では、相続発生後に必要な手続きを時系列で整理してご紹介します。
※期限は原則として「相続の開始を知った日」等を起算点とするものが多く、実際の起算日や対応要否は個々の事情により異なります。詳しくは専門家にご確認ください。
相続発生直後の2週間は、行政・社会保険・年金関係の届出が集中する時期です。
死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)に、死亡届と火葬許可申請書を市区町村役場へ提出する必要があります。また、故人が会社員であった場合は5日以内に健康保険の資格喪失届、厚生年金を受給していた場合は10日以内に受給権者死亡届の提出が必要です。国民年金の受給権者死亡届や世帯主変更届、国民健康保険・介護保険の資格喪失届は14日以内が期限とされています。
これらは提出先も市区町村役場・年金事務所・勤務先など手続きごとに異なるため、故人の状況(会社員か自営業か、年金受給の有無など)に応じて必要な手続きを洗い出すことが最初のステップになります。
相続放棄や限定承認を検討する場合、期限はいつまでですか?
相続放棄・限定承認の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条)という期限があります。
この「3か月」は熟慮期間と呼ばれ、借金などマイナスの財産が多い可能性がある場合に、相続するかどうかを判断するための期間です。期間内に何も手続きをしないと、プラスもマイナスもすべて引き継ぐ「単純承認」をしたものとみなされます。
財産調査に時間がかかり3か月では判断できない場合は、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」を行うことで期間を延ばすことも可能です。相続放棄を検討する際は、この3か月という期限を意識して早めに財産調査を始めることが重要です。
相続税の申告や遺産分割協議書の作成には、どのくらいの期限がありますか?
相続税がかかる場合の申告・納税期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、この10か月以内に申告と納税(原則現金一括)を行う必要があり、期限を過ぎると延滞税や無申告加算税といったペナルティが課される可能性があります。また、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった税額を抑える特例を使うには、原則としてこの申告期限までに遺産分割協議書を作成し、遺産の分け方を確定させておく必要があります。
なお、期限までに分割が間に合わない場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、相続開始から3年10か月以内に分割を確定させることで、後から特例の適用を受けられる場合があります。相続税が関係するケースでは、この10か月という期限が一つの大きな節目になります。
不動産の相続登記には、どのような期限がありますか?
不動産を相続で取得した場合、その事実を知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を申請することが義務付けられています(令和6年4月1日施行)。
これは過去に相続していまだ名義変更をしていない不動産も対象となる制度で、正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象となる可能性があります。あわせて、令和8年4月1日からは、不動産所有者の住所や氏名に変更があった場合も、変更から2年以内に変更登記をすることが義務化されます(こちらも過去の変更が対象で、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です)。
「相続登記はいつかやればいい」という考え方は、現在の制度上リスクを伴います。不動産を相続した場合は、この3年という期限を踏まえて早めに手続きを進めることをおすすめします。
遺留分侵害額請求や特別寄与料の請求には、期限がありますか?
遺留分侵害額請求は、相続開始および遺留分を侵害する贈与等があったことを知った時から1年以内に行使しないと、時効によって消滅します。
遺留分とは、配偶者・子・直系尊属に法律上保障された最低限の相続分のことで、兄弟姉妹には認められていません。遺言や生前贈与によってこの遺留分を侵害された場合、多く受け取った相手方に金銭の支払いを請求できますが、1年という期間制限があるため注意が必要です。また、相続人以外の親族(例えば息子の妻)が故人の療養看護に貢献した場合に金銭を請求できる「特別寄与料」の制度も、相続の開始および相続人を知った日から6か月、または相続開始の時から1年を経過すると請求できなくなります。
なお、遺留分侵害額請求権は、侵害の事実を知らなかった場合でも相続開始から10年で当然に消滅する「除斥期間」が定められています。これらの請求権は「知らなかった」という理由だけでは救済されないため、心当たりがある場合は早めの確認が重要です。
事例で見る「相続手続きの期限管理」
ある方から、次のようなご相談をお受けしたことがあります。ご親族が亡くなり、葬儀や役所への届出は済ませたものの、「相続税の申告が必要かどうか」「不動産の名義変更をいつまでにすればいいか」を把握しないまま数か月が経過していたケースです。
このケースでは、財産調査を進めた結果、遺産総額が基礎控除額を超えており、相続税の申告が必要であることが判明しました。すでに死亡から半年近くが経過していたため、10か月という申告期限を踏まえ、財産評価や遺産分割協議を急いで進める必要がありました。もし早い段階で「どの手続きに、いつまでの期限があるか」を把握できていれば、より落ち着いて対応できたはずです。
(本事例は、複数のご相談内容をもとに一般化・再構成したものであり、特定の個人・事案を示すものではありません。)
よくある質問(FAQ)
相続手続きの期限は、すべて「死亡した日」から数えますか?
いいえ、期限によって起算日が異なります。死亡届は「死亡を知った日」から7日以内、相続放棄は「相続の開始があったことを知った時」から3か月以内、相続登記は「不動産を相続で取得したことを知った日」から3年以内というように、それぞれ起算点が定められています。
相続税の申告が不要な場合、10か月の期限は関係ありませんか?
遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税の申告義務自体はありません。ただし、相続登記や遺産分割協議など他の手続きには別途期限があるため、申告不要だからといって手続き全体を放置してよいわけではありません。
相続放棄の3か月の期限に間に合わない場合はどうすればいいですか?
財産調査に時間がかかり期限内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」を行うことで期限を延ばせる可能性があります。期限が迫っている場合は、早めに家庭裁判所への相談を検討してください。
相続登記を放置するとどうなりますか?
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、名義変更をしないままだと、将来の売却や相続人の増加によって手続きがより複雑になるおそれもあります。
遺留分を請求できることを知らずに10年以上経ってしまいました。もう請求できませんか?
原則として請求できません。遺留分侵害額請求権は、侵害の事実を知らなかった場合でも、相続開始の時から10年を経過すると除斥期間により当然に消滅します。心当たりがある場合は、経過年数を確認したうえで早めにご相談ください。
※本記事の内容は執筆時点の情報です。最新の制度内容は専門家にご確認ください。
まとめ
相続手続きには、死亡届(7日以内)、相続放棄(3か月以内)、相続税申告(10か月以内)、相続登記(3年以内)など、性質の異なる複数の期限が並行して存在します。
どの期限がご自身に関係するかを早い段階で把握し、計画的に手続きを進めることが、後々のトラブルやペナルティを避ける近道です。

ご相談について
期限が迫っている場合ほど、順序を決めて動くことが大切です。相続手続き全体のご相談を承っています。
相続手続きの期限が心配な方へ
初回のご相談は無料です(時間制限はありません)。ご相談だけで終わっても構いません。彦根市を中心に、長浜市・米原市・東近江市を含む滋賀県全域に対応しています。
不動産の登記は提携司法書士、税務は提携税理士と連携して対応します。ご相談内容の秘密は厳守します。
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