エンディングノートを書こうと思ったのに、何から書けばいいか分からない。そんな方へ、最初に書く項目と順番をお伝えします。先に結論です。最初は「財産の一覧」から。 そして、ノートは遺言の代わりにはなりません。
登場するのは架空の人物です。実際の相談をもとにしたものではありません。
白紙のノートの前で、1週間止まった
彦根市に住む和子さん、68歳。夫を3年前に見送り、今は一人暮らしです。娘は京都にいます。
書店でエンディングノートを買ってきました。開くと、1ページ目は「私の生い立ち」。ペンを持ったまま、思い出せることが多すぎて、書けません。2ページ目は「大切な人へのメッセージ」。これも手が止まります。
ノートは机の上で、1週間そのままになりました。
エンディングノートとは? 遺言との違い
エンディングノートは、自分の財産や希望、家族への伝言を書き留めておくノートです。決まった形はなく、鉛筆でも、何度書き直してもかまいません。
ただし、遺言の代わりにはなりません。 「家は娘に」と書いても、遺言の決まりどおりに書かれていなければ、それで財産の分け方が決まるわけではないのです。財産の分け方を決めるには、遺言書が要ります。
遺言書には、法律で決まった書き方があります。たとえば自分で書く遺言なら、全文と日付と氏名を自分の手で書き、印を押します。書いた遺言は、法務局に預ける制度もあります(法務省の案内)。
つまり、役割が違います。ノートは「自分と家族のための下書き」、遺言は「決めたことを法律の形にしたもの」。ノートを書くと、遺言に何を書くべきかが見えてきます。
何から書けばいい? 最初は「財産の一覧」
和子さんが止まったのは、順番のせいでした。思い出や気持ちは、あとでいいのです。最初に書くのは、次の4つです。
- 自分の基本情報(名前・生年月日・連絡先)
- 財産の一覧(預貯金・不動産・株式・保険・借入金)
- デジタルの財産(ネット銀行・ネット証券・電子マネー・スマホのアカウント)
- 相続人になる人(配偶者・子・きょうだいなど)
これは「事実」なので、思い出す必要がありません。通帳と保険証券を机に並べれば、書けます。
事実が埋まったら、次に「希望」を3つ書きます。
- 介護や医療について、こうしてほしいこと
- 葬儀やお墓の希望
- 趣味や好み、これからやってみたいこと
和子さんは順番を変えて、通帳を全部出しました。銀行名と支店名と、おおよその残高。1時間で、財産のページが埋まりました。
書いてみたら、使っていない口座が3つ
書き出して、和子さんは気づきました。夫の給料が振り込まれていた銀行、娘の学費のために作った銀行、旅行の積立をしていた銀行。どれも、もう何年も使っていません。
これが、ノートを書く大きな効用です。「何が・どれだけ・どこに」あるかが、自分の目で見えます。見えると、次にやることが決まります。使わない口座をまとめる、保険の受取人を確かめる、といったことです。
残される家族にとっても、ノートは道しるべになります。口座の存在を知らなければ、手続きの漏れにつながります。
ネット銀行やスマホの中身は、家族がとくに困る
デジタルの財産は、本人しか知らないことがほとんどです。ネット銀行は通帳がなく、郵便物も来ません。スマホが開けなければ、写真も連絡先も取り出せません。
全部を書く必要はありません。サービス名と、ID か登録した連絡先だけでも、家族の助けになります。暗証番号をノートに書くかどうかは、保管場所とあわせて考えます。くわしくは「デジタル遺産の整理」でお伝えしています。
相続人は誰? 戸籍で確かめる
「相続人になる人」の欄で、和子さんの手がまた止まりました。娘が一人。それで合っているはずですが、少し不安です。
相続人が誰かは、戸籍で確かめます。ご自身では把握していなかった相続人が、戸籍から分かることもあります。「たぶん」のまま遺言を書くと、あとで困るので、ここは確かめておく価値があります。ノートには「娘(要確認)」と書いておけば十分です。
「まだ早い」と思ううちに
いつから書くか、決まりはありません。ただ、体調を崩してからでは、通帳を集めるだけでも大変になります。「まだ早い」と感じるうちのほうが、気楽に書けます。書き直せるノートなので、今の時点のことを書いて、来年また直せばよいのです。
事務所のエンディングノート(無料)
社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所では、滋賀県彦根市の行政書士として、エンディングノートを無料で配っています。印刷して、書けるところから書いてください。
書いたノートは、相談の日に持ってきてください
ノートが途中でもかまいません。財産のページだけ書いてあれば、相談はぐっと具体的になります。あれば、不動産の固定資産税の通知書と、家族関係のメモもお持ちください。なければ当日なしでも結構です。
ノートが埋まってきたら、次は「遺言を書くかどうか」です。その前に考えておくことを「遺言を書く前に決めておきたい3つのこと」にまとめています。
迷ったら、まずご相談を
和子さんの話は架空のものですが、「1ページ目で止まる」はよくあることです。順番を変えれば、書けます。
初回相談は無料で、時間の制限はありません。相談だけで終わってもかまいません。遺言・家族信託・保険をどう組み合わせるかは、「相続への備え」のページで流れと費用を紹介しています。
お申し込みはメールか LINE が便利です。返信でお客様専用のページをお送りしますので、書きかけのノートの写真を先に送っていただけます。お電話は 090-9054-1513(電話の受付 9:00〜20:00)です。ご相談はすべて予約制です(平日・土曜・祝日、日曜は午前)。


