※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。
長浜に住む兄の誠さん(62)と、彦根に住む弟の浩さん(58)。父の遺品を片づけていたら、封筒に入った、父の手書きの遺言書が出てきました。
誠「書いてあるとおりに分けたらええんやな」
浩「でも兄ちゃん、『遺言執行者』のこと、どこにも書いてないで」
誠「……ほな、誰がやるんや、これ」
浩「このままやと、手続きが進まへんのとちゃうか」
親の遺言書に、遺言執行者(遺言の内容を実際に実行する人)が書かれていない。そんなときは、家庭裁判所に選んでもらう道があります。この記事では、その申立ての流れと、誰に頼めるかをお伝えします。
遺言執行者がいない遺言書は無効になる?
結論から。遺言執行者がいなくても、遺言そのものは無効になりません。ただ、手続きの進め方が変わります。
執行者がいないと、相続人全員で手続きを進めることになります。人数が多い、遠方に住んでいる、高齢で動けない。そんな事情が重なると、揉めていなくても前に進まなくなることがあります。
また、遺言の内容によっては、執行者でないとできない手続きもあります。遺言で相続人を廃除する(相続から外す)ときの家庭裁判所への請求や、遺言による子の認知の届出などです。
遺言執行者を家庭裁判所に選んでもらうには
遺言執行者がいないとき、または亡くなった・断った・辞めたなどでいなくなったときは、家庭裁判所に選んでもらうことができます(民法1010条)。
申立てができるのは「利害関係人」です。相続人や、遺言で財産をもらう人など、その遺言に関わる人のこと。誠さんと浩さんのような子どもは、これに当たります。
流れはおおまかに次のとおりです。
- 戸籍など、必要な書類を集める
- 申立書を作り、家庭裁判所に出す
- 家庭裁判所が事情を確かめ、遺言執行者を選ぶ
申立先はどこの家庭裁判所?費用は?
申立先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法209条1項)。
滋賀県なら、彦根市・犬上郡・愛知郡愛荘町・東近江市・近江八幡市・蒲生郡は大津家庭裁判所彦根支部。長浜市・米原市は長浜支部です。くわしくは滋賀県の相続手続きの管轄一覧をご覧ください。
費用は、収入印紙800円と、連絡用の郵便切手が必要とされています(裁判所の案内による)。
候補者は家族でもいい?選ばれた人は何をする?
申立てのときに、遺言執行者の候補者を挙げることができます。家族でも、専門家でもかまいません。ただし、未成年者と破産者はなれません(民法1009条)。
最終的に誰を選ぶかは、家庭裁判所が決めます。候補者は「希望」であって、「指名」ではないと思っておくと気が楽です。
選ばれた遺言執行者の仕事は、おおまかに3つです。
- 遺言の内容を相続人に知らせる(民法1007条2項)
- 財産目録(財産の一覧表)を作って相続人に渡す(民法1011条)
- 預金や不動産など、財産ごとの手続きを進める
「兄ちゃんが候補になればええやん」と浩さんは言いますが、誠さんは腰が引けています。そんなときは、専門家を候補にする道も、家族が選ばれたうえで実務だけ手伝ってもらう道もあります。
当事務所が遺言執行者を務める場合の報酬は、執行する財産の額で決まります。300万円以下なら269,500円(税込)です。精算は原則として、任務が終わってからです。
自筆の遺言書なら、先に「検認」を
父が自分で書いた遺言書なら、先に家庭裁判所で「検認」を受けます。検認とは、遺言書の状態を確かめて記録する手続きのことです(民法1004条)。
公正証書遺言と、法務局で預かってもらう制度を使った自筆の遺言書は、検認が要りません(民法1004条2項、遺言書保管法11条)。誠さんたちが見つけた手書きの遺言書は、まず検認からです。
浩「検認して、そのあと執行者を選んでもらう。順番は分かったわ」
誠「分かったけど、戸籍集めやら申立書やら、俺らだけでやれるか?」
浩「そこは一回、専門の人に聞いてみよか」
誠「せやな。相談だけなら無料のとこもあるみたいやし」
兄弟は、まず相談してみることにしました。
社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)では、行政書士として、申立てに必要な戸籍の収集などの準備をお手伝いしています。裁判所に出す申立書は、提携の司法書士と連携して進めます。当事務所が候補者として遺言執行者に就任することも、ご家族が選ばれた場合に実務だけをお手伝いすることもできます。くわしくは「遺言執行のご相談」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
※この記事の人物とお話は架空のものです。


