相続手続きは、どこへ行けばよいのか ─ 滋賀県の市町別 管轄一覧

相続手続きはどこへ行くか。基準は最後の住所地、家庭裁判所・税務署、登記は不動産の所在地、公証役場は県内3か所、年金は請求の種類で、の5点を示した図

相続の手続きは、ひとつの窓口では終わりません。不動産の名義変更は法務局、相続放棄や遺言書の検認は家庭裁判所、相続税は税務署、遺族年金は年金事務所と、手続きごとに行き先が分かれます。そして最初に押さえておきたいことがひとつあります。行き先を決める基準は、手続きをするご自身の住所ではなく、多くの場合「亡くなった方の最後の住所地」です。この記事では滋賀県内の市町ごとの行き先を一覧にし、行かなくてよい窓口順序を間違えたときに起きることまで整理します。彦根市を中心に滋賀県全域で相続手続きの支援を行う行政書士がまとめました。

目次

まず押さえること ─ 基準は「亡くなった方の最後の住所地」

窓口を調べるとき、多くの方がご自身の住所で調べ始めます。しかし制度上の基準は違います。

  • 相続放棄・遺言書の検認などの家庭裁判所への申立ては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所に申し立てます(家事事件手続法201条1項・209条1項)。そして相続は、被相続人の住所において開始すると定められています(民法883条)。つまり、亡くなった方の最後の住所地です。
  • 相続税の申告書の提出先は、国税庁が「被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地を所轄する税務署ではありません」と明示しています(タックスアンサーNo.4205)。
  • 準確定申告も、「被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に提出します」とされています(同No.2022)。
  • 不動産の相続登記だけは基準が違い、その不動産の所在地を管轄する法務局です。

東京に住むお子様が、彦根市のお父様の相続手続きをする場合、家庭裁判所も税務署も彦根であって東京ではありません。下の一覧は、この「亡くなった方の最後の住所地」を基準にしています。

滋賀県の相続手続き 市町別の管轄一覧

太字は、同じ市町の中で行き先が分かれるところです。

亡くなった方の最後の住所地家庭裁判所(相続放棄・検認)税務署(相続税・準確定申告)年金事務所法務局(証明書の交付等)
大津市大津本庁大津大津本局
草津市・守山市・栗東市・野洲市大津本庁草津草津本局
甲賀市・湖南市大津本庁水口草津甲賀支局
高島市大津本庁(家裁高島出張所)今津大津高島出張所
彦根市・犬上郡(豊郷町・甲良町・多賀町)・愛知郡愛荘町彦根支部彦根彦根彦根支局
東近江市・近江八幡市・蒲生郡(日野町・竜王町)彦根支部近江八幡草津東近江出張所
長浜市・米原市長浜支部長浜彦根長浜支局

※不動産の相続登記の申請先は、この表ではなく「その不動産がある場所」で決まります。滋賀県内の不動産であれば、右端の列と同じ区分になります。

出典:裁判所「滋賀県内の管轄区域表」/国税庁「税務署所在地・案内(滋賀県)」/日本年金機構「滋賀県内の年金事務所管轄区域」(更新日2023年3月14日)/大津地方法務局「不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧」(更新日2025年12月8日)。いずれも2026年8月31日に確認したものです。

行き先がきれいに揃っている市町は、実は多くありません。

  • 米原市は、家庭裁判所も税務署も法務局も長浜ですが、年金事務所だけは彦根です。
  • 東近江市・近江八幡市は、税務署が近江八幡、法務局が東近江出張所であるのに、家庭裁判所は彦根支部です。年金事務所は草津になります。
  • 甲賀市・湖南市は、税務署と法務局は地元(水口・甲賀支局)ですが、家庭裁判所は大津本庁、年金事務所は草津です。

なお、公証役場と遺言書保管所は、この表とは考え方がまったく異なります。後の見出しで別に説明します。

相続の手続きは、6つの窓口に分かれる

相続で必要になる手続きを工程に分けると、行き先と担い手は次のように対応します。

工程行き先何で決まるか主に担う専門職
戸籍・住民票の収集市区町村役場広域交付なら最寄りの窓口ご本人/行政書士
遺産の分け方の合意(遺産分割協議書の作成)窓口なし行政書士/弁護士(争いがある場合)
不動産の名義変更(相続登記)法務局不動産の所在地司法書士
相続放棄・遺言書の検認家庭裁判所被相続人の最後の住所地司法書士/弁護士
相続税の申告・準確定申告税務署被相続人の最後の住所地税理士
遺族年金・未支給年金年金事務所ほか請求する年金の種類による社会保険労務士

この表に載っていない手続きもあります。たとえば自動車の名義変更は、普通自動車と軽自動車で窓口も必要書類も異なります。詳しくは相続による車の名義変更のページにまとめています。

当事務所(社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所)がお引き受けするのは、戸籍の収集と、遺産分割協議書の作成を中心とした書類の準備です。不動産の登記は提携司法書士、税務は提携税理士と連携して進めます。手続き全体の順序をご案内しながら、当事務所が担う部分をお引き受けし、他の専門職が担う部分は窓口としておつなぎする形になります。

相続手続きの全体の進め方は、相続手続きの代行のページにまとめています。

誰に相談すればよいか迷われる場合は、相続の相談先をどう選ぶかもあわせてご覧ください。登記・税務・交渉はそれぞれ担う専門職が異なり、連携できているかどうかが実務では効いてきます。

相続放棄・遺言書の検認 ─ 家庭裁判所へ

相続放棄には期限があります。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならないと定められています(民法915条1項)。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができるとされています(同項ただし書)。また、相続人は、承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができるとされています(同条2項)。

遺言書が見つかった場合は検認が必要です。遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないとされています(民法1004条1項)。公正証書による遺言については、この規定は適用されません(同条2項)。そして、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができません(同条3項)。

滋賀県では、彦根市・犬上郡・愛知郡・東近江市・近江八幡市・蒲生郡が大津家庭裁判所彦根支部、長浜市・米原市が長浜支部の管轄です。東近江市や近江八幡市にお住まいだった方の相続で、家庭裁判所だけ彦根まで行くことになるのは、この区分によるものです。

不動産の相続登記 ─ 大津地方法務局の支局・出張所へ

相続登記だけは、亡くなった方の住所地ではなく、その不動産がある場所を管轄する法務局へ申請します。滋賀県では、大津地方法務局の本局と、甲賀支局・彦根支局・長浜支局・高島出張所・東近江出張所が、それぞれの区域を担当しています。米原市内の不動産であれば長浜支局、彦根市内の不動産であれば彦根支局です。

県外に不動産をお持ちだった場合は、その県の法務局へ申請することになります。滋賀県内の手続きだけでは終わらない形になります。

相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されました。所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならないとされています(不動産登記法76条の2第1項)。遺産分割が後からまとまった場合は、その遺産の分割の日から3年以内に登記を申請することとされています(同条2項)。

登記の申請そのものは司法書士の業務です。当事務所では、登記に必要な戸籍の収集や遺産分割協議書の作成をお引き受けし、提携司法書士と連携して登記まで進める形をとっています。

公正証書遺言 ─ 滋賀県に公証役場は3か所しかない

滋賀県の公証役場は、大津・長浜・近江八幡の3か所です(日本公証人連合会の一覧・2026年8月31日確認)。

公証役場所在地電話
大津大津市中央3-2-1 セザール大津森田ビル3階077-523-1728
長浜長浜市勝町7150749-63-8377
近江八幡近江八幡市出町417-8 出町フォーエバービル1階0748-33-2988

彦根市には公証役場がありません。彦根市・犬上郡・愛知郡・米原市の方が公正証書遺言を作る場合は、長浜または近江八幡へ出向くことになります。「地元の法務局は彦根なのに、公証役場は長浜」という組み合わせは、この地域では珍しくありません。

公証人の職務執行の区域は、その所属する法務局又は地方法務局の管轄区域によると定められています(公証人法17条)。滋賀県の公証人であれば、職務を行える区域は滋賀県内ということになります。また、公証人は役場において職務を行うことを要するが、事件の性質がこれを許さない場合又は法令に別段の定めがある場合はこの限りでないとされています(同法18条)。

公証人は出張できます ─ 法務局の職員は出張しません

ここは、遺言の方法を選ぶうえで実務上とても大きな違いです。

日本公証人連合会は、遺言公正証書は役場以外でも作成することが認められており、遺言者が高齢で体力が弱り、あるいは病気等のために公証役場に出向くことが困難な場合などには、公証人が遺言者の自宅や老人ホーム、介護施設、病院等に出張して作成することが行われていると説明しています。さらに、離島等でアクセスが困難であるなどの事情があり、本人確認や遺言の意思の確認に支障がないと公証人が相当と認めた場合には、ウェブ会議で公証人と面談する方法で作成することも可能とされています。

一方、後述する自筆証書遺言の保管制度については、「法務局の職員が遺言書保管のために出張することはないので、遺言者が病気等のために法務局に出向くことができないときは、この制度を利用することができない」と明記されています(同)。

つまり、ご入院中やご自宅から出られない状態の方にとっては、選べる方法が限られます。この点は、体調が変わる前に方針を決めておく理由のひとつになります。

公正証書遺言の作り方と費用は、公正証書遺言の作成のページにまとめています。

自筆証書遺言の保管 ─ 県内4か所のどこでも申請できる

自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を法務局に預ける制度があります。この制度で使える窓口を遺言書保管所といい、滋賀県では大津地方法務局の本局・彦根支局・長浜支局・甲賀支局の4か所です(法務省「管轄/遺言書保管所一覧」)。高島出張所と東近江出張所は遺言書保管所ではありません。

この手続きは、これまでの見出しとは考え方が違います。保管の申請ができるのは「遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地」のいずれかを担当する遺言書保管所とされており、その管轄区域は滋賀県単位です。したがって滋賀県内にお住まいであれば、県内4か所のどこへでも申請できます。米原市の方が彦根支局で申請することもできます。

ただし、次の点は動かせません。

  • 2通目以降の保管の申請は、最初に保管した遺言書保管所へ行う必要があります。
  • 遺言書の原本の閲覧、保管の申請の撤回も、最初に保管した遺言書保管所でしかできません。
  • 相続開始後に相続人が行う手続きのうち、遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の交付請求や、モニターによる閲覧請求は、全国の遺言書保管所のどこでも可能とされています。

この制度で保管された遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です。民法1004条1項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については適用しないと定められています(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。

自筆証書遺言の書き方と保管制度の使い方は、自筆証書遺言についてのページにまとめています。

相続税と準確定申告 ─ 税務署へ

相続に関する税の手続きには、期限の異なるものが2つあります。

準確定申告は、亡くなった方のその年の所得についての申告です。相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならないとされ(所得税法125条1項)、申告書は被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に提出します(国税庁タックスアンサーNo.2022)。

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地を所轄する税務署ではありません(同No.4205)。

滋賀県の税務署は7署で、彦根税務署の管轄は彦根市・愛知郡・犬上郡、長浜税務署の管轄は長浜市・米原市です。なお、内部事務のセンター化により、申告書等を郵送する場合の宛先は7署とも「〒520-8509 大津市京町3丁目1番1号 大津びわ湖合同庁舎 大阪国税局大津業務センター」に一本化されています。相談で来署する場合は事前の予約が必要とされています(国税庁)。

税額の計算や有利不利の判断は税理士の業務です。当事務所では、提携税理士と連携して進めます。

遺族年金 ─ 年金事務所と市区町村役場に分かれる

滋賀県の年金事務所は大津・草津・彦根の3か所で、彦根年金事務所の管轄は彦根市・長浜市・東近江市・米原市・愛知郡・犬上郡です(日本年金機構)。長浜市と米原市は、家庭裁判所も税務署も法務局も長浜ですが、年金事務所だけは彦根になります。

ただし、個人のお客様のご相談は、原則として全国どこの年金事務所でも受け付けているとされています(同)。管轄が問題になるのは主に事業所の手続きです。

そして年金は、管轄よりも「何を請求するか」で行き先が変わります。日本年金機構の案内では、請求書の提出先は次のように分かれています。

請求するもの請求書の提出先
遺族基礎年金住所地の市区町村役場の窓口。ただし死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所または街角の年金相談センター
遺族厚生年金年金事務所または街角の年金相談センター
寡婦年金住所地の市区町村役場の窓口。年金事務所・街角の年金相談センターでも手続きできる
死亡一時金住所地の市区町村役場の窓口。年金事務所・街角の年金相談センターでも手続きできる
年金受給権者死亡届・未支給年金の請求年金事務所へ郵送。対面を希望する場合は予約のうえ、年金事務所または街角の年金相談センターへ

おおまかには、亡くなった方が厚生年金に加入していたなら年金事務所、国民年金だけだったなら市区町村役場が入口と考えると分かりやすくなります。滋賀県の窓口は、大津・草津・彦根の3つの年金事務所と、街角の年金相談センター草津です(日本年金機構「全国の相談・手続き窓口 滋賀」)。

なお、年金を受けていた方の死亡届と未支給年金の請求については、亡くなった方の被保険者期間が地方公務員共済組合の組合員期間のみである場合など、提出先が加入していた共済組合になるケースもあります。

戸籍の収集 ─ 広域交付なら最寄りの市区町村役場で足りる

相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をそろえる必要があります。従来は本籍地の市区町村ごとに請求する必要がありましたが、戸籍の広域交付により、本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できるようになりました。

つまり、戸籍については「どこへ行くか」で悩む必要が小さくなっています。制度の内容と使えないケースは、戸籍の広域交付制度の記事にまとめています。

順序を間違えるとどうなるか

管轄を調べることより、順序のほうが結果に響きます。よくあるのは次の3つです。

1. 相続放棄を考えているのに、先に遺産分割協議をしてしまう

相続放棄には民法915条1項の3か月の期間があります。同条2項が、承認または放棄をする前に相続財産の調査をすることができると定めているとおり、この期間内に財産の状況を調べることが前提になっています。負債の有無が分からないまま話し合いを進めると、判断材料がないまま期間が過ぎることになりかねません。

2. 遺産分割協議がまとまらないまま、相続税の申告期限が来る

相続税の申告は、相続税法27条1項により知った日の翌日から10か月以内です。一方、遺産分割協議そのものに期限はありません。期限のない手続きが、期限のある手続きを止めてしまうという形になりやすいところです。

3. 封のしてある遺言書を、その場で開けてしまう

民法1004条3項により、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ開封することができないとされています。見つけた場所で開けてしまうと、後から説明が必要になります。

3つとも、行き先を間違えたのではなく、順番の問題です。当事務所では、初回のご相談で、何がいつまでで、どの順に進めるかを一緒に整理するところから始めています。

「うちの場合はどこへ行くのか」を確かめたい方へ

初回のご相談は無料です(時間制限はありません)。ご相談だけで終わっても構いません。何がいつまでで、どの順に進めるかを一緒に整理します。

不動産の登記は提携司法書士、税務は提携税理士と連携して対応します。ご相談内容の秘密は厳守します。

どこへ行かなくてよいか

窓口の一覧を見ると「全部回らなければいけないのか」と感じられるかもしれませんが、多くの方にとって不要な窓口があります。

  • 相続税の申告は、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありません(国税庁タックスアンサーNo.4205)。税務署へ行く必要がない方は少なくありません。
  • 公正証書遺言があれば、家庭裁判所の検認は不要です(民法1004条2項)。法務局の保管制度を使った自筆証書遺言も、検認は不要です(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。家庭裁判所へ行かずに済む形は、遺言を作る段階で選べます。
  • 不動産がなければ、法務局へ行く必要はありません。預貯金だけの相続であれば、戸籍と遺産分割協議書を金融機関へ提出する流れになります。
  • 遺産分割協議書の作成に、決まった提出先はありません。相続人全員の合意を書面にするもので、窓口はありません。作り方は遺産分割協議書の作成のページにまとめています。

回る窓口の数は、ご事情によって変わります。「相続が起きたら全部の役所を回る」ということではありません。

よくあるご相談例(想定ケース)

以下は、実際にお受けすることの多いご相談を一般化した想定ケースです。特定の方のご相談ではありません。

大阪にお住まいの方から、米原市のお父様が亡くなられた後のご相談。米原市のご実家の土地建物と預貯金があり、相続人は大阪のご本人と、京都にお住まいの弟様の2人。ご相談時点では「自分が住んでいる大阪の役所や法務局で手続きするのだと思っていた」というお話でした。

整理すると、行き先は次のようになりました。

  • 戸籍の収集 → 広域交付を使えば大阪の最寄りの窓口で請求できる
  • 遺産分割協議書の作成 → 窓口なし。相続人全員で合意して書面にする
  • ご実家の相続登記 → 不動産の所在地で決まるので長浜支局(提携司法書士が担当)
  • 相続放棄を検討する場合 → 被相続人の最後の住所地なので大津家庭裁判所長浜支部
  • 相続税 → 基礎控除の範囲内であれば申告不要。判断は提携税理士へ。申告が必要なら長浜税務署
  • 遺族年金 → 彦根年金事務所が管轄(個人の相談は全国どこの年金事務所でも可)

ご自身がお住まいの大阪で完結する手続きは、戸籍の収集だけでした。遠方にお住まいの相続人の方から「どこへ行けばよいか」というお問い合わせをいただくことは多く、この整理をお伝えするだけでも、次に何をすればよいかが見えたとおっしゃることが多いご相談です。

よくある質問

相続手続きの窓口は、自分が住んでいる市で調べればよいのですか。

いいえ。多くの手続きは、亡くなった方の最後の住所地で決まります。家庭裁判所への相続放棄や遺言書の検認の申立ては、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所とされ(家事事件手続法201条1項・209条1項)、相続は被相続人の住所において開始するとされています(民法883条)。相続税の申告書の提出先も、被相続人の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地を所轄する税務署ではないと国税庁が明示しています。なお、不動産の相続登記だけは、その不動産の所在地を管轄する法務局です。

米原市で相続が起きた場合、手続きはすべて長浜へ行くことになりますか。

いいえ。米原市の場合、相続放棄や遺言書の検認は大津家庭裁判所長浜支部、相続税・準確定申告は長浜税務署、不動産の相続登記は大津地方法務局長浜支局ですが、年金事務所は彦根年金事務所が管轄です。年金事務所だけ行き先が異なります。なお、個人の年金相談は原則として全国どこの年金事務所でも受け付けているとされています。

彦根市には公証役場がないと聞きました。公正証書遺言はどこで作るのですか。

滋賀県の公証役場は大津・長浜・近江八幡の3か所で、彦根市にはありません。彦根市や米原市の方は、長浜または近江八幡の公証役場を利用されることが一般的です。なお、高齢や病気などで公証役場に出向くことが困難な場合には、公証人がご自宅や老人ホーム、介護施設、病院等へ出張して作成することが行われていると日本公証人連合会が説明しています。

入院中で外出できないのですが、遺言書を残せますか。

公正証書遺言であれば、公証人が病院等へ出張して作成することが行われていると日本公証人連合会は説明しています。一方、自筆証書遺言を法務局に預ける保管制度については、法務局の職員が保管のために出張することはないため、遺言者が病気等のために法務局に出向くことができないときはこの制度を利用できないと明記されています。体調によって選べる方法が変わりますので、早めにご相談ください。

相続放棄はいつまでにすればよいですか。

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内とされています(民法915条1項)。ただし、この期間は利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所において伸長することができるとされています。負債の有無が分からない段階で期間が過ぎてしまわないよう、早めに財産の状況を確認することが大切です。

相続税の申告は、必ずしなければならないものですか。

いいえ。国税庁は、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありませんとしています(タックスアンサーNo.4205)。個別の判定は税理士の業務にあたりますので、当事務所では提携税理士と連携してご案内しています。

まとめ

滋賀県の相続手続きは、家庭裁判所・税務署・年金事務所・法務局・公証役場・市区町村役場に分かれ、行き先を決める基準は、多くの場合ご自身の住所ではなく「亡くなった方の最後の住所地」です(不動産の登記だけは不動産の所在地)。米原市のように、家裁も税務署も法務局も長浜なのに年金だけ彦根、という組み合わせもあります。一方で、ご事情によっては行かなくてよい窓口もあります。まずは「何がいつまでで、どの順に進めるか」を整理するところから始めると、回る窓口の数も見えてきます。

他の疑問や事例は疑問と事例から探すからご覧いただけます。

※本記事の内容は執筆時点(2026年8月31日確認)の情報です。管轄や窓口の取扱いは変更されることがありますので、最新の内容は各官公署にご確認ください。

ご相談について

どこへ行けばよいか分からない段階でも構いません。当事務所では、相続手続きの代行として、戸籍の収集から遺産分割協議書の作成までをお引き受けし、登記は提携司法書士、税務は提携税理士と連携して進めています。

初回のご相談は無料です(時間制限はありません)。土日祝日も事前のご予約で対応しています。彦根市を中心に、長浜市・米原市・東近江市を含む滋賀県全域に対応しています。

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この記事を書いた者

成宮隆行 なるみや たかゆき

【保有資格】
社会福祉士(登録番号178261)
ファイナンシャルプランナー(AFP)・2級FP技能士
宅地建物取引士
行政書士(行政書士登録番号第23252144号/日本行政書士会連合会・滋賀県行政書士会会員)
【職歴】
外資系生命保険会社
司法書士事務所での勤務
社会福祉士・FPとして独立
行政書士成宮事務所を開設
【専門分野】
社会福祉士会のぱあとなあ滋賀に所属し、成年後見業務を中心に活動。行政書士事務所開設後は、遺言・終活・生前対策・相続対策にも注力している。
【相談員等】
彦根市:相続遺言相談会相談員、福祉関係相続等研修会:講師

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