親の介護、きょうだいでお金と役割をどう分ける?もめない取り決め方と合意書

親の介護、きょうだいでどう分ける? 親を支えるのはきょうだい全員?、介護のお金はだれが出す?、決めたことを書面にした?の3項目を挿絵付きのカードで紹介する図。

※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。

母の退院が決まった夜、実家に住む姉の和美さんに、遠くで働く弟の健太さんから電話がありました。

「姉ちゃん、お母ちゃんのこと、任せきりでほんま悪いな」
「悪いと思うんやったら、月に一回くらい顔見せてや」
「仕事がなあ……。そのぶんお金は出すから」
「お金出すだけで済んだら、こっちも楽やわ」
「……それ、怒っとる?」
「怒ってへん。でも、このままやといつか怒ると思う」

親の介護が始まったきょうだいへ。近くで世話をする人と、遠くでお金を出す人の不公平感を、話し合いと一枚の書面でほどく方法をお伝えします。

目次

親の介護はきょうだいみんなの責任?法律の決まり

民法には、親子やきょうだいは互いに扶養する(生活を支える)義務があると書かれています(民法877条1項)。親を支える責任は、近くに住む人だけでなく、きょうだいそれぞれにあります。

ただし「だれがどれだけ」までは、法律で一律に決まっていません。だから、分け方は家族で決めるしかないのです。ここを決めずに走り出すと、不公平感が静かにたまっていきます。

介護の費用はだれが出す?親のお金が先か、子が出し合うか

介護の費用は、まず親本人の年金や預貯金から出すのが一般的な考え方です。足りない分を子が出し合うかどうかを、次に決めます。

出し合うなら、割合も決めておきましょう。「困ったら出す」はやさしい言葉ですが、あとで「言った・言わない」になりがちです。

親のお金を使ったら、何に使ったかの記録も残してください。領収書をまとめ、日付・金額・用途を書いておくと、きょうだいの間でもめにくくなります。記録の付け方は「親のお金の記録の残し方」の記事をご覧ください。

介護をする人へのお礼はどうする?決めないと無報酬になることも

介護を担う人へのお礼は、出すなら金額と時期をはっきり決めておきます。取り決めがあいまいだと、原則として無報酬と判断されることがあるからです。

「相続のときに多めにもらえるやろ」と思う方もいます。たしかに、親の介護で親の財産を守ることに特別の貢献をした相続人は、話し合いで取り分を増やせる仕組みがあります(民法904条の2、寄与分)。

ただし「特別の」貢献が必要で、家族として当然の手伝いと見られると認められにくいのです。話し合いがまとまらなければ家庭裁判所が決めることになり、時間も気持ちの負担もかかります。だから、お礼は生前に決めておくほうが穏やかです。

なお、息子の妻など相続人でない親族が介護した場合は、「特別寄与料」という別の仕組みがあります。

きょうだいの合意書には何を書く?5つの項目

介護の分担と負担の扱いは、生前に「合意書」(約束を書いた書面)にできます。書いておくとよい項目は、次の五つです。

  • だれが何を担うか(通院の付き添い、見守り、手続きなど)
  • 介護の費用をどこから出すか(親のお金か、出し合うか、その割合)
  • 介護を担う人へのお礼を出すか、出すなら金額と時期
  • 親のお金の管理をだれがして、どう報告するか
  • いつ見直すか(介護の状態が変わったときなど)

書面の良いところは、記憶ではなく紙に残ることです。半年後に「そんな話したか?」となっても、紙は覚えています。

合意書は公正証書にしたほうがいい?

親本人の判断する力が心配な場合は、公正証書(公証人が作る公文書)で作ることも考えられます。あとで「無効だ」と言われにくくするためです。

ふだんの合意書で足りることもあります。親の状態と、きょうだいの関係の温度で選びましょう。

数日後、健太さんが久しぶりに実家に帰ってきました。姉弟は母の年金の話から始め、決めたことを紙にどんどん書き出していきました。

「付き添いは姉ちゃん、お金の管理は僕がやって、毎月報告するわ」
「それと、私への『お礼』の話もちゃんと書いといてな」
「……はい。金額と、いつ渡すかもやろ?」
「よう分かってるやん。半年に一回の見直しも入れといて」

二人は、話し合った内容を書面にすることにしました。母の様子が変われば、また書き直す約束も添えて。

社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)は、行政書士としてこうした合意書づくりをお手伝いします。きょうだいの間で合意ができている内容、まとまりつつある内容を、中立の立場で書面にします。相手との交渉や、すでに争いになっている場合は弁護士の仕事になります。くわしくは「親族間・家族間の契約書」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。

※この記事の人物とお話は架空のものです。

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この記事を書いた者

成宮隆行 なるみや たかゆき

【保有資格】
社会福祉士(登録番号178261)
ファイナンシャルプランナー(AFP)・2級FP技能士
宅地建物取引士
行政書士(行政書士登録番号第23252144号/日本行政書士会連合会・滋賀県行政書士会会員)
【職歴】
外資系生命保険会社
司法書士事務所での勤務
社会福祉士・FPとして独立
行政書士成宮事務所を開設
【専門分野】
社会福祉士会のぱあとなあ滋賀に所属し、成年後見業務を中心に活動。行政書士事務所開設後は、遺言・終活・生前対策・相続対策にも注力している。
【相談員等】
彦根市:相続遺言相談会相談員、福祉関係相続等研修会:講師

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