※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。
死後事務委任の費用は、自分が亡くなった後に払うお金です。そのため、契約のときに「預託金」として預けるか、支払い方法を契約書で決めておきます。大切なのは、預ける額の根拠と、管理の方法、残ったお金の行き先を、契約書で確かめることです。
長浜に住む和子さん(70代)は、夫を見送り、子どもはいません。葬儀や家の片づけを頼める人がいないため、死後事務委任を考え始めました。
「先にお金を預けてくださいと言われたけど、いくら渡せばええの? ちゃんと残しておいてもらえるんやろか」
なぜ「先に預ける」のか
死後事務は、本人が亡くなった後に始まる仕事です。葬儀や納骨、入院費の支払い、家の明け渡しなどを、頼まれた人が進めます。
ところが、本人が亡くなると、本人の預金は動かしにくくなります。頼まれた人が立て替えられないと、仕事が止まってしまいます。そこで、費用を先に預かっておくか、どこから払うかを契約で決めておくのです。
もともと、頼みごとの契約は本人が亡くなると終わるのが原則です。ただ、死後の事務を頼む契約は、亡くなっても終わらない約束を含むと考えられています(最高裁平成4年9月22日判決)。契約書にも、そのことを書いておくのが通例です。
いくら預ける? 金額は「見積もり」から決める
預ける額に、決まった相場はありません。何を頼むかで、かかる費用が変わるからです。
- 葬儀・火葬・納骨:希望の形式で見積もりを取る
- 病院・施設の精算、家賃など:今の支払いから見込む
- 家の片づけ・明け渡し:家財の量で見積もりを取る
- 頼んだ人への報酬:契約で決めた額
国などの指針でも、葬儀の見積もりを何件取るかを先に決めておくなど、金額の根拠をはっきりさせる工夫が紹介されています。
誰に預ける? 預け方の選び方
預け方は、大きく分けて次の3つです。
| 預け方 | よいところ | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 頼む人に預ける | 手続きが簡単 | 頼む人のお金と分けて管理されているか |
| 信託銀行・信託会社を使う | 頼む人が破綻しても守られやすい | 手数料がかかる |
| 預けずに、払い方を契約や遺言で決める | 手元にお金を残せる | 亡くなった後、すぐに払える形になっているか |
高齢者の身元保証や死後事務を扱う事業者向けに、国の関係省庁がまとめたガイドラインがあります。預託金は、事業者の運営のお金と分けて管理し、状況を定期的に報告するのが望ましいとされています。信託を使うのが望ましく、ほかの方法では、事業者が破綻したときにお金が戻らないおそれがある、とも書かれています。
残ったら? 使われなかったお金の行き先
すべての手続きが終わって、預けたお金が残ることがあります。残ったお金は、契約に定めがなければ、相続人に引き渡すのが基本です。
ここで注意したいのは、「残ったお金は事業者に贈る」という約束を、契約とセットにされる場合です。ガイドラインでも、こうした約束を契約の条件にすることは避けるべきだとしています。残ったお金を誰に渡すかは、契約書で、自分の意思で決めましょう。
契約の前に確かめたい5つのこと
国民生活センターには、「預託金を急いで払うよう言われた」「解約したら一部しか返ってこなかった」といった相談が寄せられています。契約の前に、次の5つを書面で確かめましょう。
- 何に・いくら使うか(見積もりの中身)
- どう管理し、どう報告してもらえるか
- 途中でやめたとき、いくら返ってくるか
- 足りなくなったら、どうするか
- 残ったお金を、誰に渡すか
困ったときは、消費者ホットライン(188)にも相談できます。
和子さんが選んだ預け方
和子さんは、葬儀社の見積もりを取り、病院や家の片づけの費用も見込んで、預ける額を決めました。管理の方法と、残ったお金を姪に渡すことも、契約書に書きました。
「何にいくら使うか分かって、安心して預けられたわ」と、和子さんは話しています。
葬儀やお墓の希望をどこに書くかは「葬儀やお墓の希望を遺言に書いても、間に合わないことがある」で紹介しています。入院から亡くなった後まで、誰に何を頼むかの全体は「子どもがいない・ひとり暮らし。入院や亡くなった後の手続きは、誰に頼めばいい?」にまとめました。
まとめ:預ける前に「根拠・管理・残り」を確かめる
死後事務の費用は、亡くなった後に払うため、先に預けるか、払い方を契約で決めます。預ける額は見積もりから、管理の方法と残ったお金の行き先は契約書で確かめましょう。
社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)では、何を頼むかの整理から、費用の預け方の設計、公正証書での契約まで、行政書士がお手伝いします。当事務所では、料金と費用を預託金としてお預かりするか、支払い方法を契約書で決めておきます。進め方と料金は「死後事務委任契約のご相談」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
※この記事の人物とお話は架空のものです。


