実家を継ぐ子と、ほかのきょうだい。生命保険と遺言で「釣り合い」をとる方法

実家を継ぐ子ときょうだい。実家は分けにくい、遺言で継ぐ人を決める、受取人で結果が変わるの3項目を挿絵付きのカードで紹介する図。

※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。

財産の多くが実家で、継ぐ子が一人に決まっているなら、遺言で実家の行き先を決め、ほかの子に渡すお金を生命保険で用意する方法があります。このとき大切なのは、保険の受取人を誰にするかです。一般には、実家を継ぐ子を受取人にし、その保険金からほかのきょうだいにお金を払う形がよく紹介されます。

東近江に住む文子さん(70代)には、長男と長女がいます。夫は5年前に亡くなりました。財産は、農地のついた実家と、少しの預金です。実家は、近くに住む長男の誠さんが継ぐことになっています。
「実家を誠にあげたら、ゆかりには何も残らへん。それでは、ゆかりがかわいそうや」
文子さんは、どう分ければ2人とも納得できるのか、悩んでいます。

目次

実家は分けにくい財産

預金は1円単位で分けられます。でも、実家は分けにくい財産です。きょうだいで共有にすると、売るにも貸すにも全員の同意が要り、次の代でさらに持ち主が増えていきます。

そこで、実家は一人が受け継ぎ、ほかのきょうだいにはお金で釣り合いをとる、という考え方があります。このお金を「代償金」といいます。

問題は、継ぐ子に、代償金を払えるだけのお金があるかどうかです。

遺言で、実家を継ぐ人を決める

まずは遺言で、実家を誰が受け継ぐかを決めておきます。遺言がないと、きょうだいの話し合いで決めることになります。意見が分かれると、実家の名義が長く決まらないこともあります。

実家を継ぐ人を遺言で決める理由は「実家を継ぐ人を決めておきたい。遺言がないとどうなる?」で紹介しています。

ただ、遺言で実家を長男に遺しても、長女には遺留分(最低限の取り分)があります。長女が遺留分を請求すると、長男はその分をお金で払わなければなりません。遺留分については「遺留分とは?」をご覧ください。

受取人を誰にするかで、結果が変わる

ここで生命保険を使います。文子さんが保険料を払い、自分を被保険者にした保険に入ります。受取人の決め方で、結果が変わります。

受取人起きること
長女を受取人にする保険金は長女のもので、遺産に入らない。そのため、長女は保険金を受け取ったうえで、実家について遺留分を請求できる
長男を受取人にする長男は、受け取った保険金から長女に代償金や遺留分の分を払える。お金の流れが、遺産の分け方と結びつく

長女に直接渡すほうが自然に見えます。でも、保険金は遺産とは別の、受取人自身のお金です。そのため一般には、長女が保険金を受け取っても、遺留分の計算では「もらったもの」として数えないと考えられています。きょうだいの釣り合いをとる目的なら、長男を受取人にする形がよく紹介されるのは、このためです。

保険金の額は、遺留分を目安に考える

用意する保険金の額は、ほかのきょうだいの遺留分が一つの目安になります。文子さんの場合、相続人は子ども2人です。長女の遺留分は、遺産全体の4分の1です。

実家の評価額がいくらになるかで、必要な額は変わります。まず財産を書き出し、実家のおおよその評価を確かめてから、保険金の額を決めましょう。

保険金が多すぎると、釣り合いの計算に入ることも

死亡保険金は、原則として、遺産を分けるときの「生前にもらった分」(特別受益)には数えません。ただし、最高裁は2004年の決定で、不公平がとても見過ごせないほど著しいときは、例外として計算に入れることがある、と判断しています。

判断の材料として挙げられているのは、保険金の額、遺産全体に対する割合、同居や介護への関わり、それぞれの暮らしぶりなどです。遺留分の計算でも同じように考えるかは、ケースによって争いになることがあります。保険で一人に大きな額を渡すときは、遺言とあわせて、全体の釣り合いを確かめておきましょう。

まとめ:遺言と保険と、気持ちを伝える言葉

実家を継ぐ子と、ほかのきょうだい。遺言で実家の行き先を決め、生命保険で代償金のお金を用意すると、どちらにも渡すものができます。

文子さんは、遺言で実家を誠さんに遺すと決めました。受取人を誠さんにした保険で、ゆかりさんへの代償金も用意しました。遺言の最後には、2人への気持ちを書き添えています。
「お金のことより、2人が仲良うしてくれるのがいちばんやからな」と、文子さんは話しています。

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当事務所は、ファイナンシャルプランナーであり、保険代理店でもあります。保険が選択肢に入る場合はその場でお伝えし、必要ないと考えられる場合はそのようにお伝えします。社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)では、財産の書き出しから、遺言の作成まで、行政書士がお手伝いします。相続税の計算は提携の税理士、登記は提携の司法書士と連携します。詳しくは「遺言書の作成・活用のご相談」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。

※この記事の人物とお話は架空のものです。

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この記事を書いた者

成宮隆行 なるみや たかゆき

【保有資格】
社会福祉士(登録番号178261)
ファイナンシャルプランナー(AFP)・2級FP技能士
宅地建物取引士
行政書士(行政書士登録番号第23252144号/日本行政書士会連合会・滋賀県行政書士会会員)
【職歴】
外資系生命保険会社
司法書士事務所での勤務
社会福祉士・FPとして独立
行政書士成宮事務所を開設
【専門分野】
社会福祉士会のぱあとなあ滋賀に所属し、成年後見業務を中心に活動。行政書士事務所開設後は、遺言・終活・生前対策・相続対策にも注力している。
【相談員等】
彦根市:相続遺言相談会相談員、福祉関係相続等研修会:講師

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