※登場するのは架空の人物で、実際の相談をもとにしたものではありません。
遺言を書く前に、まず「相続税がかかりそうか」を5つの項目で確かめましょう。かかりそうなら、税理士の試算をはさんでから遺言の中身を決めます。かからなさそうなら、税理士に行かなくても遺言づくりを進められます。
彦根に住む節子さん(70代)は、夫を亡くして3年になります。そろそろ遺言を、と考えはじめました。
「遺言を作るのに、税理士さんに行ったほうがええの? 行政書士さん? どっちに先に行ったらええか分からへんのよ」
節子さんは、どこに電話をすればよいか分からず、半年ほど止まっていました。
税理士と行政書士、頼めることが違う
まず、それぞれに頼めることを整理します。法律で、できる仕事が分かれています。
| 頼みたいこと | 頼む先 |
|---|---|
| 相続税がいくらになるかの試算・節税の相談 | 税理士 |
| 相続税の申告 | 税理士 |
| 遺言の中身の整理・文案づくり | 行政書士 |
| 財産や相続人の調べ、公正証書遺言の準備 | 行政書士 |
| 遺言の内容の実現(遺言執行) | 遺言で指定された人(行政書士などの専門職も可) |
自分の家の税額を計算したり、税金の相談に答えたりするのは、税理士だけに認められた仕事です。一方、遺言の文案づくりや、そのための準備は行政書士が担えます。
つまり、どちらか一方ではなく、「税金を先に見るべき家かどうか」で順番が変わります。
遺言を書く前の「税金の確認リスト」5項目
次の5つに、当てはまるものがあるか確かめてみてください。
1. 財産の合計が「3,000万円+600万円×相続人の数」を超えそう
2. 自宅のほかに、土地や建物、田んぼ・畑を持っている
3. 孫や息子の妻、きょうだいなど、子ども以外にも遺したい
4. 生命保険に入っていて、受取人や金額を見直したい
5. 誰に何を遺すかで、家族の受け取る額に大きな差が出そう
1つ目の「3,000万円+600万円×相続人の数」は、相続税がかからない枠(基礎控除)です。たとえば相続人が子ども2人なら4,200万円です。財産には、預貯金だけでなく、自宅の土地・建物や生命保険金も含めて考えます。
当てはまる項目ごとに、気をつけること
項目ごとに、遺言の中身に関わる税金の話があります。
- 1:税金がかかりそうなら、誰が自宅を継ぐかで、使える特例(小規模宅地等の特例)が変わります
- 2:田んぼ・畑を、相続人以外の人に指定して遺すときは、農地法の許可が要ります。土地の評価も複雑です
- 3:子ども以外が受け取ると、相続税が2割増しになることがあります
- 4:生命保険には「500万円×相続人の数」の非課税枠があります
- 5:差が大きいと、遺留分(最低限の取り分)の請求や、その支払いのお金の準備が問題になります
3つ目は「孫や息子の妻に遺言で遺すと、相続税は2割増し?」、4つ目は「生命保険の非課税枠「500万円×相続人の数」」で詳しく紹介しています。
当てはまる数で変わる、相談の順番
確認リストの結果で、相談の順番は次のように変わります。
| 結果 | 進め方 |
|---|---|
| 1つ目に当てはまらず、ほかも0〜1つ | 税理士の試算なしで、遺言づくりを進められることが多い |
| 1つ目に当てはまる、またはほかが2つ以上 | 税理士の試算をはさんでから、遺言の中身を決める |
| どれに当てはまるか分からない | 財産を書き出すところから一緒に整理する |
節子さんの場合、自宅のほかに田んぼがあり、孫にも少し遺したいという希望がありました。2つ目と3つ目に当てはまります。
当事務所の進め方:税理士への引き継ぎまで
当事務所では、初回のご相談で、財産とご家族の状況を一緒に書き出します。そのうえで、税理士の試算が必要かどうかを判断します。
必要な場合は、提携の税理士に、整理した財産の資料をお渡しして試算をお願いします。ご自身で一から説明し直す手間は少なくなります。試算の結果を踏まえて、遺言の中身を組み立て、公正証書遺言の準備まで進めます。
士業の分担については「「相続は弁護士・司法書士・税理士に」というAI検索の案内は、なぜ片手落ちなのか」で、遺言の前の準備全体は「遺言を書く前に確かめる3つのこと」で紹介しています。
まとめ:先に「どっち」で迷わない
遺言を書く前に、税金がかかりそうかを5つの項目で確かめましょう。当てはまれば税理士の試算をはさみ、当てはまらなければそのまま遺言づくりを進めます。迷ったときは、財産を書き出すところから始めれば十分です。
節子さんは、当事務所で財産を書き出し、提携の税理士の試算を受けてから、田んぼの行き先と孫への遺し方を決めました。
「どっちに先に行くか、悩まんでもよかったんやね」と、節子さんは話しています。
社会福祉士・FP・行政書士成宮事務所(滋賀県彦根市)では、遺言の中身の整理から公正証書遺言の準備、遺言執行まで、行政書士がお手伝いします。相続税の試算と申告は、提携の税理士と連携します。進め方は「遺言書の作成・活用のご相談」をご覧ください。お電話(090-9054-1513・9:00〜20:00)でも、メール・LINEでもご相談いただけます。初回のご相談は無料です。
※この記事の人物とお話は架空のものです。


